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− 日本ボケ協会 ( 公式ホームページ ) 
●「東洋錦編」

東洋錦は咲き分けボケの代表品種で、古くから栽培され盆栽、庭木など数多く存在しています。白地に紅絞り、覆輪、無地と咲き分ける一重大輪咲き。この東洋錦から枝変わり、交配実生で優秀な品種が発表されています。作出者は不明ですが大正前期の放春花名鑑に初めて名前が載っています。
大正参年参月放春花銘鑑 越後小合 園藝同好會 
東洋錦  本種ハ最近ニ出タル奇種ニシテ花ハ紅白咲分ヶ又ハ絞等・・・・と紹介されています。

東洋錦は挿し木で繁殖をした時、赤花が三割、白花が五割、咲き分けが二割出たら良い方で親木の選択が重要になります。大正時代から東洋錦の赤花は国華、白花は東絞り、と名前を付け販売していました。近年まで東洋と呼び、咲き分けが咲いたら非常に高値で取引が成立する位、貴重な存在でした。
高嶺錦は東洋錦の枝変わり。桃色地に白覆輪または本紅色の絞り、白花も咲く、一重大輪
樹勢は強く作りやすい。大正前期から栽培され常に人気の高い品種です。

高嶺錦の枝変わりとして高嶺の雪があります。覆輪を選抜し優しい花にした品種で色があでやかな品種です。現在は、高嶺の雪で分類はせず、挿し木の技術や接ぎ木で花芸が安定し高嶺錦として取り扱われています。
東洋錦の根元から八房性の枝変わり、赤の小輪一重咲き、新潟県の関勝氏が発見した八房東洋は当時、姫東洋とも呼ばれていました。葉が小さくミニ盆栽に適しています。その実生で加藤政明氏が米粒の様な葉を持つ姫小町を作出しています。挿し木繁殖は難しく小さいため接ぎ木で繁殖をしています。今後、普及して欲しい品種です。

ボケの人気が出始めた頃、新潟県の加藤悦郎氏が東洋錦の枝代わりで安田錦を発表。八房東洋より葉が大きく、白地に紅絞りの咲き分け、一重中輪咲き。八房性で枝張が特に旺盛で小型の木作りには理想的な枝が出ます。

白花が多く、赤と白に分かれやすく絞りが出にくい。良く花芸の出る木が少なかったのですが最近は接ぎ木の技術で花芸が安定的に出る優良種です。残念な事に、接ぎ木で花芸は良く出るようになりましたが、接ぎ木の穂木の取り方が八房性のため、徒長枝を穂木に使い葉や花が少しだけ大きく変化している事が残念です。その安田錦から枝変わりで覆輪咲き一重中輪の富士の嶺を発見。加藤悦郎氏がボケ協会品種登録第一号の登録となりました。ピンクの花など当時は少なく枝が良く出て、花付きが良く人気品種です。加藤悦郎氏は富士の嶺と黒珊瑚の交配で赤色八重の八房性、おと姫を作出して日本ボケ協会第二十四号の登録をしています。

東洋錦からは、夢と名前が付いた品種が枝変わりで発見され、木の作りやすさと薄いピンクの花色が良く可愛らしいネーミングで特に女性に人気があります。夢は挿し木の発根率の良い優良種で枝は少し横に成長します。
木の太りや花付きが良いため今後ますます人気が出る品種です。
新潟県の渡辺金一郎氏が東洋錦の枝変わり越の輝を発表。花型は五弁花ですっきりとした花型、小さい絞りや大小交じり合った花芸で赤と白が交じり合い白地に赤絞り、大輪、東洋錦より安定的に花芸を楽しめる品種の誕生に当時は驚き、待ちこがれた品種の登場に感謝の思いでした。木は東洋錦より横に成長し太りは良く赤花が進む性質があるため剪定は注意が必要、繁殖力も良い品種です。
越の輝からはピンクの地合いに白覆輪で赤絞りが万遍なく入る品種、輝の嶺を加藤政明氏が発見。日本ボケ協会登録品種第三十七号登録をしています。
東洋錦の枝変わりで葉が大きく花も圧弁の淡い桃色一重の巨大輪も誕生しています。

日本ボケ協会登録第七号の金寿盃は古川金作氏が発見、登録しています。実も大きく花の間隔がやや広く、挿し木後は枝が伸びない性質です。しっかり根が張る頃、枝も伸び太る有望種です。巨大輪で豪華さがあり厚い花がひときわ目立ちます。その金寿盃の枝代わりで渡辺金治郎氏が品種名大和錦を発見し登録しました。白地に大小の絞りが安定的に入る有望種です。
 埼玉県からは枝変わりで出た品種から変化した彩咲品種で赤や絞り、覆輪が乱れ入る咲分けで一重彩咲きの品種、彩の国も注目の品種です。

 昭和五十七年度に種苗特性分類調査報告書(ボケ)が農林省から出ています、その中で東洋錦の枝変わりに緋の袴が載っていて(疑問ですが)東洋錦と兄弟実生の可能性があります。古い品種で解りません。
大正時代の銘鑑も緋の袴の説明は枝変わりと明記してはいません。

実は似ていますが、緋の袴は小ぶりでやや細長く丸い実が付きます。その緋の袴の枝代わりの実は、小さく丸型です。系統は現在不明ですが東洋錦の出た時代から共にあったボケの品種だと思います。昭和五十年代頃に接木の台木として利用され始め、耐病性に優れ根張りが良い品種です。花は一重、薄桃紅から濃い赤となる大輪咲きです。又、枝変わりで一重中輪、桃色地に白覆輪、早咲き種、生育は旺盛で花付きが良い品種、みねやまを発見しました。その、みねやまから白の一重の花が咲き、弥生の袴として石田和幸氏が発見し日本ボケ協会登録をしています。白の枝変わりからは紅の絞りの入る枝もある事から、東洋錦の枝変わりの可能性もあるのかもしれません。斑入り葉の五色ボケも緋の袴の枝変わり、花は同じです。新しい葉がとてもきれいなボケです。

 東洋錦は枝変わりをたくさん世に出し、交配の父、母になるボケ、絞り系の代表種です。交配は、新潟県の羽下富市氏の発見した白の八重咲き品種、雪御殿の花形と東洋錦の絞りを持った新しいボケを作る予定で品種選択され交配実生の親になっています。